本研究では、近代フランスにおいて「親密な生活(アンティミテ)」がどのように表象され、またその概念がどのように変化したかを、文学(テクスト)と絵画(イマージュ)の両方の側面から探った。本来は、内省的な個人の精神生活を指していたアンティミテは、私的空間の装飾を重視する18世紀のロココ美術、そして市民劇や風俗描写を志向する啓蒙時代の文学によって、徐々に「家族や友人との社交生活」を意味するようになる。「アンティミテ」の近代化は、フランス革命を経てのち、七月王政におけるブルジョワ階級の興隆、そして第二帝政期のパリ大改造における都市のインフラ整備において決定的なものとなったことが明らかになった。
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