日本近世演劇の基盤資料整備を進めつつ、そこに立脚して江戸歌舞伎の芸能環境を実証的に追究した。文字を主体とする資料では、西尾市岩瀬文庫の江役割番付集の書誌調査と興行情報細目の抽出をおこなった。視覚資料である役者絵については、ホノルル美術館において、紅摺絵を中心に色摺技法を分析するとともに、フランス国立図書館をはじめとする諸機関において、役者絵本『絵本舞台扇』の諸本を比較調査した。 上記役割番付や入手した役者絵にもとづきながら、特定の芸能環境として、江戸歌舞伎の興行慣習「曽我祭」関係資料を収集し、その実態を検証した。
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