19世紀後半の清朝末期、2つのアヘン戦争を経験した中国は、西洋近代の外交・通商制度を部分的に導入し始めることによってその富強化を図ろうとした。西洋諸国が不平等条約によってアジア諸国に強要してきたと言われてきた領事裁判権および領事裁判制度も、在外華人保護や周辺国との関係性において、中国が有利または優位に立つことを期待して、東アジアの周辺地域に限定して導入が図られていた。本研究では、日本・朝鮮・ベトナムとの間の事例を中心に、中国が在外領事裁判を通して、近代的な変容を図ろうとしていた側面を明らかにした。
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