研究課題
本研究は、日本人英語学習者のエッセイ(340個)とその英語母語話者の添削文の間に文単位で1対1の対応関係を持つパラレルコーパスを作成した。特に、添削者の個人差の影響を軽減するために、学習者の一つのエッセイに対して異なる英語圏の母語話者(計62名)によって新たに3通りの添削文(1020個)を作成した。英語母語話者が日本人学習者の過剰使用語をどのように添削したのか調査するために、このパラレルコーパスを使用して質的分析を行い、日英の発想の違いの一端を明らかにした。例えば、文中のsoはand soやand thereforeに添削される、即ち、接続詞から副詞に修正されていた。これは、事態を根拠と結論の認識の関係(Epistemic Domain)と捉えるべきところで、日本人学習者が原因と結果の因果関係(Content Domain)と捉えていて、認識の推論が日英で異なることを示している。教師や英語学習者の疑問や実践的な要望に応えるため、アントニ・ローレンス氏と共同でインターネット上で使用が可能なENEJE (English Native Edited Japanese Essays) Parallel Corpus(以下、ENEJE)を開発・公開した。そして、研究者向けには、スタンドアローン型のAntPConcを改良した。ENEJEでは、KWIC Concordancer、File View(文章全体の表示)、Wordlistのような従来のコーパスソフトウェアの機能だけでなく、エッセイのテーマや得点を指定してテキストの選択ができる。更に、英語母語話者の採点と添削の理由も表示が可能である。エッセイの添削者兼採点者の属性(国籍、性、学位)も閲覧できるので、単に学習者のエッセイのエラーの修正例を示すだけでなく、英語母語話者の評価と理由をわかりやすく提示する機能も備えている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Opening new lines of communication in applied linguistics: Proceedings of the BAAL Annual Conference 2013
巻: 未定 ページ: 未定
http://www.antlab.sci.waseda.ac.jp/eneje/