クレタ島では、13世紀から17世紀までの長きにわたってヴェネツィアが、ギリシア系住民を支配する状況が続いた。そうした支配=被支配の関係の構築プロセスを1300年前後の政治・社会的状況に基づいて考察し、以下の2点を明らかにした。 一点目は、クレタ島の旧宗主国であるビザンツと、クレタとの関係の変化である。ビザンツは島内のギリシア系住民とのコネクションを保ちつつ、ヴェネツィアのクレタ領有を認める方策をとった。 二点目は、島内の変化である。13世紀末に台頭したギリシア系有力者のアレクシオス・カレルギスの介在によって、ギリシア系住民にヴェネツィアの意図する支配が理解され、平和が構築されることになった。
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