研究課題
本年度は主に2つの研究を軸として進めた。1つ目は、『日記』におけるモードや服装の記述の変遷を実際の服飾史と比較しながら分析し、その歴史的正確性(不正確性)・歴史的価値を明らかにすることであった。男性の服装は特に「黒服」について、そして女性については特に19世紀後半の「エステティック・ドレス」の記述について、フランスやイギリスの図書館での資料調査を行った上、考察を行った。その結果、ゴンクール兄弟は、例えば逆説的に黒服にダンディの卓越性を表現しようとしていたボードレールとは全く異なり、終始一貫して否定的に描いていることがわかった。他の同時代の自然主義の作家の作品にこのような態度は読み取ることができないことから、ゴンクール兄弟は、フランスの男性がブルジョワ化し平準化していく様子を黒服の着用に鋭くとらえて『日記』や小説の中に表現していることが明らかになった。エステティック・ドレスについては、フランスの服飾の歴史の本や、19世紀当時のフランスのモード雑誌には該当する記載がほとんどないことから、エドモンが『日記』の中でパリにおけるこのドレスの流行について記述していることは非常に歴史的価値が高いことが明らかになった(研究の第1、2部)。2つ目は、モードの画家たちとの交流が、ゴンクール兄弟の衣裳の愛好や描写にどのような影響を与えたかを知ることであった。この点に関しては、ゴンクール兄弟が画家たちから直接多くの影響を受けたというよりも、共通する芸術的センスによって彼らが親密な関係を築き、画家たちとの交際によってゴンクールは華美な衣裳をまとった人々と交流の機会や評価する機会を頻繁に得ていたことが分かった。さらには、マチルド皇女との深い付き合いや彼女のサロンへの頻繁な出入りもゴンクールが衣裳に関する感性を磨く重要な契機となっていたことが明らかになった(研究の第3部)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Actes du colloque international "Sociopoetique du textile : tissus et vetements chez les ecrivains francais au XIXe siecle"
巻: 1 ページ: 未定
http://let.sakura.ne.jp/goncourt/