研究概要 |
平成25年度は、「半拉城址発掘史を同時代の東アジアの国際情勢のなかに位置付けて考え、あらためて『渤海半拉城址発掘とは何だったのか』という問いを明らかにする」ことを目標とした。そこで、米国立公文書館(NARA, ArchivesII)で主として米国務院関連資料の調査並びに昨年度末に行った台湾国立故宮博物院と台湾中央研究院近代史研究所档案館での調査で蒐集した資料の綿密な分析を行った。その結果、斎藤が渤海・半拉城址より発掘した遺物が、当時代の東アジアにおいてどのように政治的に扱われ移管されたのか、そして、日本の戦後賠償を主導したGHQ及び米国務院が渤海・半拉城址発掘を含む旧満洲国領土内で日本が行った発掘という営みとそこで出土した遺物をどのようにみていたのかを明らかにできる資料を発見した。 また本年度は、本研究の最終年度であることから、斎藤優の遺稿を刊行し、学界に公表することを目標とし、その編集作業を行った。そのためにまず、斎藤優のご遺族と再度話し合いを重ね、2013年12月14日付で「著作物の利用に関する覚書」を書面にて締結し、本遺稿及びその他の斎藤家所蔵史料の研究利用における許諾を改めて得た。本遺稿は、本研究期間中に刊行することを予定していたが、研究の進捗状況から2014年の3月末日までに刊行できなかった。そのため現在、今年中の刊行を目指し、早急に作業を進めている。なお、その成果の一部は、2014年3月1日から2日に開催された「第15回北アジア調査研究報告会」にて「新出史料:渤海半拉城址発掘者斎藤優の遺稿集について―その史料的価値の考察を中心に―」の題目で報告し、本遺稿を学界に初めて公表した。
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