申請者はこれまで、中国古代において貨幣(経済的流通手段)とそれを中心とする貨幣経済が具体的にいつどのように展開し、それが当時の社会にいかなる影響を与えたのか、また当時の人びとがそれにどう対処したのかについて検討してきた。本課題はその一環をなすもので、とくに前漢武帝~王莽期の貨幣経済史について検討した。 検討の結果、前漢後半期~王莽期の貨幣経済の動態は、従来一般に想定されているほどに激変を伴ったものではなく、むしろ継続的側面が濃厚であると考えるに至った。またその反面、前漢貨幣経済は武帝期に大きく変化したようである。
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