研究課題/領域番号 |
24820064
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
櫻澤 誠 立命館大学, 経営学部, 講師 (90531666)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 日本史 / 沖縄戦 / 米軍基地 / 開発 / 空間形成 / 基地経済 / 自立経済 / 復帰過程 |
研究概要 |
本研究の目的は、戦後沖縄/日本における重要な争点となってきた、「沖縄戦」と「米軍基地」をめぐる諸問題の「空間形成」過程について、沖縄と本土を共通の俎上に乗せ、「開発」を媒介項として明らかにすることである。今年度(8月末開始)は、主に史資料収集と基礎的研究を行った。 広範な史資料収集としては、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、国立公文書館、外務省外交史料館、国立国会図書館、旅の図書館などにおいて、研究課題に関する文献・文書等の収集に努めた。特に今年度は、海洋博関連の史料収集を重点的に行った。また、沖縄の元教員に対する聞き取りも継続して行った。さらに、「戦争」後の比較検討を目的として、中国の南京・上海への調査を行った。 雑誌論文としては、沖縄戦・米軍基地と開発をめぐる検討を行うための基礎的研究として、「基地経済」と「自立経済」に関わる論文を2件発表した。1950年代については、「1950年代沖縄における「基地経済」と「自立経済」の相剋」(『年報日本現代史』17、「年報日本現代史」編集委員会、2012年9月)、1960年代については、「沖縄の復帰過程と「自立」への模索」(『日本史研究』606、日本史研究会、2013年2月)を発表した。 学会発表としては、日本史研究会大会(2012年10月、立命館大学)において、「沖縄の復帰過程と「自立」への模索」と題して口頭報告を行った。また、沖縄国際大学沖縄法政研究所シンポジウム(2012年11月、沖縄国際大学)において、「琉球政府立法院による民主政治の射程―石川事件対策特別委員会を事例として―」と題して口頭報告を行い、パネルディスカッションに参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究期間が実質7ヶ月ということもあり、主に史資料収集と基礎的研究に重点を置いた。そうしたなかで、史資料収集については、沖縄、東京においてそれぞれ複数回調査を行い、さらに中国での調査を行うなど、一定の成果を挙げることができた。基礎的研究についても、2件の論文発表、2件の学会発表を行うことができた。 しかしながら、今年度の研究実施計画に掲げていた、「沖縄戦の慰霊空間と観光開発」については、収集した史資料に基づき検討を進めたものの、雑誌論文や学会発表の成果とするには至っていない。次年度には積極的に成果を発表していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、今年度に検討してきた「沖縄戦の慰霊空間と観光開発」についての成果を発表するとともに、「米軍基地をめぐる経済開発」についても、検討・発表を行っていく。 史資料収集については既に進めているところだが、引き続き沖縄、東京での調査を行うとともに、夏季にはアメリカ国立公文書館での調査を行う予定である。聞き取りについても継続して行っていく。さらには、「戦争」後の比較検討を行うために、今年度と同様、海外調査を実施したい。 また、研究の進展に応じて、各種団体の調査対象や聞き取り対象を広げたり、個人所蔵史料の調査を追加実施することなどによって、収集史料を充実させ、改善を図っていく。 さらには、研究を停滞させずに円滑に進めるための新たなアイディアを得られるよう、学会・研究会には積極的に参加し、沖縄を専門とする研究者だけでなく、歴史学や関連諸分野の研究者と意見・情報交換を積極的に行っていく。
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