本研究の目的は、戦後沖縄/日本における重要な争点となってきた、「沖縄戦」と「米軍基地」をめぐる諸問題の「空間形成」過程について、沖縄と本土を共通の俎上に乗せ、「開発」を媒介項として明らかにすることである。今年度は、引き続き史資料収集を行うとともに、研究計画に従って具体的検討を行い、以下の成果を挙げることができた。 国内調査としては、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、国立公文書館、外務省外交史料館、国立国会図書館などにおいて、研究課題に関する文献・文書等の収集に努めた。また、沖縄の元教員などへの聞き取りも継続して行った。海外調査としては、米国国立公文書館新館において史料調査を行った。さらに、「戦争」後の比較検討を目的として、韓国・ソウル、台湾・台北での調査を行った。 雑誌論文としては、「米軍基地をめぐる経済開発」に関わる政治勢力を検討するものとして、「1960年代前半の沖縄における政治勢力の再検討―西銘那覇市政の歴史的位置―」(『立命館大学人文科学研究所紀要』104、立命館大学人文科学研究所、2014年3月)を発表した。また、聞き取りの成果として、「戦後沖縄における一教員の軌跡―新垣仁英氏に聞く―」(『ノートル・クリティーク』6、ノートル・クリティーク編集委員会、2013年5月)を発表した。 学会発表としては、まず、北陸史学会(2013年9月、金沢大学)において、「沖縄現代史研究の課題」と題して口頭報告を行った。また、同志社大学人文科学研究所国際学術シンポジウム「磁場としての東アジア」・日本の「戦後史」と東アジア(2013年11月、同志社大学)において、「沖縄復帰前後の経済構想」と題して口頭報告を行った。さらに、同時代史学会大会(2013年12月、一橋大学)において、「1960年代前半の沖縄における保守勢力の再検討」と題して口頭報告を行った。
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