海外調査としては、研究計画どおりに内モンゴル調査を行った。具体的には、赤峰市巴林左旗林東鎮の遼上京博物館および契丹博物館において石刻資料の調査を行った。両博物館へは研究協力者である中国社会科学院歴史研究所の康鵬氏に紹介の労を取って頂いた。契丹博物館には未発表の遼代石刻資料が存在するため、新資料の把握という点で益するところが非常に大きかった。その他、両博物館に近接する遼上京遺跡にて、中国社会科学院考古研究所・董新林氏の好意により、発掘現場の臨地解説を受けることが出来た。 国内調査としては、前年度に引き続き、研究計画どおりに東洋文庫にて拓本調査を行った。東洋文庫所蔵の遼代石刻拓本の多くは戦前に将来された現遼寧省管内の資料の拓本であり、次段落で言及する遼金西夏史研究会での発表においてその成果の一端を発表することができた。 成果発表としては、本年度の内モンゴル調査を反映した論文の『関西大学東西学術研究所紀要』への掲載が決定しているほか、前年度の遼寧省調査および東洋文庫での調査を反映した口頭発表を遼金西夏史研究会にて行った。これらはおよそ当初の研究計画に沿ったものである。その他、海外調査の日程にあわせて、北京大学でも中国語にて口頭発表を行った。
|