研究課題/領域番号 |
24820069
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
柳田 直美 関西学院大学, 日本語教育センター, 講師 (60635291)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 接触場面 / 接触経験 / 母語話者 / 非母語話者 / 情報やりとり / コミュニケーション方略 / コミュニケーション支援プログラム |
研究概要 |
本研究は、日本語教育の知識や経験のない一般の日本人が、外国人との接触経験を通じて習得する口頭での情報やりとりの方略を明らかにし、日本人と外国人のコミュニケーションを支援するためのプログラムを開発することを目的とするものである。 平成24年度は、日本人と外国人が口頭で情報をやりとりする場面において、日本語教育の知識や経験のない日本人が情報やりとりの際に用いるコミュニケーション方略について、外国人との接触経験があるグループとないグループの比較を行い、「外国人との接触経験を経て、特に教示を受けなくても一般の日本人が自然に習得することができる情報やりとりの方略」と「外国人との接触経験を経ても、一般の日本人が困難を抱える情報やりとりの方略」に関して、より詳細に質的に分析し、情報やりとりの共生言語モデルの構築のための基礎データとした。次に、日本語教育の知識や経験のない日本人が、外国人との接触経験を経て習得する「情報やりとりの共生言語モデル」を構築した。 これらの成果は、「接触場面における母語話者のコミュニケーション方略に関する研究の動向と課題」として論文にまとめ、公表した。また、平成25年度公刊予定の研究論文集の一部、及び博士論文の一部とする予定である。 さらに、平成25年度に向け、構築した「情報やりとりの共生言語モデル」を応用して、日本人に対する外国人とのコミュニケーション支援のためのワークショップ形式のプログラム開発のために、ワークショップ形式のプログラムの予備収録を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、おおむね予定通りに計画を進めた。 平成24年度の当初の予定は、以下の3点であった。(1)日本人と外国人が口頭で情報をやりとりする場面において、日本語教育の知識や経験のない日本人が情報やりとりの際に用いるコミュニケーション方略について、外国人との接触経験があるグループとないグループの比較を行い、より詳細に質的に分析する。(2)日本語教育の知識や経験のない日本人が、外国人との接触経験を経て習得する「情報やりとりの共生言語モデル」を構築する。(3)「情報やりとりの共生言語モデル」を応用して、日本人に対する外国人とのコミュニケーション支援のためのワークショップ形式のプログラムを検討と開発を進める。 このうち、(1)と(2)に関しては、分析の成果を論文にまとめ、公表した。また、平成25年度公刊予定の研究論文集の一部、及び博士論文の一部とする予定である。 (3)に関しては、日本人に対する外国人とのコミュニケーション支援のためのワークショップ形式のプログラム開発のために、ワークショップ形式のプログラムの予備収録を行った。プログラム試行の協力者・協力機関および、実施日程についても、すでに調整に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、日本人と外国人のコミュニケーション支援のためのワークショップ形式のプログラム開発を行い、プログラムの試行的実践と検討・改善を行う。本プログラムについては広く社会的に公開する。 (1)プログラムの検討と開発:平成24年度は収録データの分析・整理と情報やりとりの共生言語モデルを構築した。平成25年度は平成24年度の実績をもとに、1)外国人との接触経験を経て、特に教示を受けなくても一般の日本人が自然に習得することができる情報やりとりの方略と、2)外国人との接触経験を経ても、一般の日本人が困難を抱える情報やりとりの方略について整理し、コミュニケーション支援のためのプログラムの開発と分析、検討を行う。1)については提示の方法とトレーニング方法を検討する。2)については、提示の方法だけでなく、トレーニングの前段階の教示方法とトレーニング方法を検討する。 (2)プログラムの試行的実践と収録:上記(1)で開発したプログラムを試行的に実践する。実践は日本人大学生および、自治体等、社会的に外国人との情報やりとりを必要とする機関を対象に行う。プログラムの試行的実践とともに、本プログラムの検証に向けて、一般の日本人の情報やりとりの方略の変化を分析するため、プログラムの実践を録音・録画するとともに、参加者に対する質問紙調査等を実施する。 (3)収録データの分析:上記(2)の収録データ、質問紙調査等を分析する。分析は、トレーニング実施前と実施後の言語行動面の変化を収録データをもとに、意識面の変化を質問紙調査をもとに行う。それらの分析結果を次の(4)のプログラムの再検討と改善のためのデータとする。 (4)プログラムの再検討と改善:上記(3)の分析結果をもとに、開発したプログラムを再検討し改善を行うとともに、社会的に広く公開する。
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