本研究は、ドイツの「文化プロテスタンティズム」と呼ばれるリベラルな神学者たちに第一次世界大戦が及ぼした影響を思想史的意義の観点から明らかにしようとするものである。大戦以前から活躍していた旧世代の神学者と、戦争後の思想界に新たに登場してくる新世代の神学者それぞれが、大戦の経験とその後の社会の構想をどのように語っているかを、単純な世代論に終始することなく描き出すことを目指した。 その成果として、これまでの先行研究で設定されていた世代間の断絶の構図では抜け落ちてしまう、旧世代に属しながらも新世代の思想に理解を示し、思想的遺産の継承を図る立場の存在を明らかにし、その立場を神学的「後衛」と特徴づけた。
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