日常生活で意見の異なる相手を説得しなければならない場合は多々ある。良好な人間関係を構築・維持するためには効果的に他者を説得することは極めて現実的であり重要な問題である。本研究では、効果的に他者を説得するにはどうすればよいかという社会的要請に応えるためのトレーニング・プログラム開発の基礎的な知見を提出することを目指す。そのために、説得者と被説得者がどのような言語的チャネルや非言語的チャネルを使用しているかを検討する。 本研究では、ある話題について意見が異なる参加者はその話題についてコミュニケーションを行う実験室実験を実施した。昨年度に引き続き、本年度でも2者間コミュニケーションについて詳細な分析、結果の吟味を行った。今年度はさらに、ある話題について意見が異なる3名がその話題についてコミュニケーションを行う実験室実験を実施した。コミュニケーション後に、他者を説得できた説得者とそうでない被説得者に分類し、その際の参加者の言語的チャネルと非言語的チャネルを測定した。 研究の結果、他者を説得しようとする人はそうでない人と比較してと言語・非言語的チャネルの使用が違うことが示された。また、コミュニケーションの経過時間に応じて、言語・非言語的チャネルを使い分けていることも示された。 以上の結果から、効果的な説得戦略のためのトレーニング・プログラム開発の基礎的な知見を提出できたと考えられる。今後はこれらの研究成果から実践場面に生かすトレーニング・プログラムを開発する予定である。
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