研究課題/領域番号 |
24830014
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 秀直 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | ロンドン外国為替市場 |
研究概要 |
本年度の研究実績は、以下のものである。当初の4つの研究実施計画に即して述べる。計画①は、1920年代から1930年代にかけてのロンドン外国為替市場の直物・先物為替レートデータ及び、各種市場金利データのデータベースの作成、計画②は、作成したデータベースに基づき、統計的分析を行うことであった。計画①及び②の成果として、当時の金融統計データを利用した1930年代のロンドン外国為替市場の動向に関する論文を発表することができた。本研究の研究上の意義は、1920年代と1930年代の国際金融市場の分断を強調する先行研究に対して、本研究は、ロンドン金融市場に限定する限り、外国為替市場が機能し続けていたという意味において連続性を見出すことができる点を指摘したことである。この結果は、戦間期の国際金融問題に関する研究潮流に対して、新たな視点を提供することができたといえる。 計画③は、ロンドン短期金融市場に関わる各種銀行や企業、政策担当者のアーカイブ調査を行うことであった。その成果は、2012年度末にロンドンにおいて史料調査を行い、その結果、新たな統計データおよび史料を得たことである。このデータを今までの自身の研究と結びつけることで新たな成果が得られると考えている。 計画④は、今年度は、学会発表及びセミナーなどで具体的な研究報告を行うことであった。その成果として、国内においてセミナーを行い、今までの研究成果を報告することに加えて、今後の研究を進めるうえでの新たな視点を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私は、今までの自身の研究及び本年度の研究において、ロンドンの短期金融市場、特にロンドンの外国為替市場が、1920年代から1930年代にわたり一貫して機能し続けたという点を、明らかにすることができた、と考えている。その研究結果を、論文などで報告できたという点で、今年度は、順調に研究を行うことができたと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
確かに本年度の研究により、自信の仮説を事実で補強することができた、と考えている。だが、まだ、為替レートデータの分析が中心であり、ロンドン外国為替市場と国際的な債権・債務関係の連鎖の関わりの分析が弱い点は否めない。このような点の改善を意識しながら、研究を行う必要があると考えている。
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