研究概要 |
幸福度指標に関する研究およびデザイン研究の両者において幸福度向上に寄与する共通項目に「関係性」がある。本研究では特にこの点に着目し、「ヒトの幸福度は何らかの集団に属し、活動を行った量に比例する」という仮説に基づき、予備調査として20代~60代の男女524名、本調査として20代~60代の男女1,075名に対し、幸福度に関する項目および家族、友人、職場等のコミュニティにおける活動時間についてウェブアンケート調査を行い、その相関性の分析を行った。その結果、コミュニティ活動の相関としては判別分析によりその影響度を解析したところ、正準判別係数において「家族との時間数」の第一関数が0.679と高い結果を得たが、第一関数の正準相関が0.325と低いため、さほど大きな影響力はないものと推測された。一方、「やりがいの有無」「目標の有無」についてはノンパラメトリック検定を行ったところ1%信頼区間において有意差が発見され、夢・希望よりもさらにその差が顕著に表れた。また、両者の比較においては、やりがいについては有の平均幸福値が7.00、無の平均幸福値5.76であるのに対し、目標については有の平均幸福値が6.83、無の平均幸福値が5.97と、平均値比較においても「やりがいの有無」が幸福度に対し寄与する割合が高いことが推測された。以上の結果から、当初仮説であったコミュニティ活動量と幸福度との相関性に関しては「家族と一緒に活動する時間数」が最も寄与しやすいことが分かった。その一方、「やりがいの有無」「目標の有無」といった項目については幸福度との相関が高いことが推測され、特に「やりがいの有無」は中でも最も影響度があると推測されることが分かった。ただし、今回の研究においては各幸福度(10段階)における被験者数のばらつきが大きく、統計データとしての信憑性についてはやや疑問の残るところであり、今後これらを考慮した調査が必要であると考えられる。
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