現代のアメリカ大統領は、議会を通過した法案に対して、署名と同時に、法案の一部については違憲無効であると、署名時声明(signing statement)と呼ばれる文書の中で主張する。アメリカ合衆国憲法は、大統領に対して、法案に署名するか拒否権を行使するかを認めているが、一部に違憲を主張するということは許していない。 本研究では、ジョージ・W・ブッシュ政権とバラク・オバマ政権による署名時声明の運用の変化と、署名時声明の使用を支えていた政権内部の法律家による法的理論を明らかにした。どちらの政権においても、合衆国憲法第二条に定められている大統領の法の誠実執行義務の解釈の方法が重要であった。
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