本研究では、15-16世紀にフィレンツェがオスマン帝国と行った貿易の実態を調査した。まず、毛織物を製造し自らそれをオスマン帝国で販売したグワンティ毛織物会社に着目し、この会社の経営記録から貿易でかかった経費を詳しく分析した。つぎに、フィレンツェの会社や商人の記録から、オスマン帝国からのペルシア生糸輸入の実態を調査した。これら二つの調査から、フィレンツェの会社がオスマン帝国との貿易を予測可能な経費で安全に行っていた事実を明らかにした。そして三つ目の研究として、フィレンツェの赤色染料輸入に着目し、カンビーニ商会の記録からその詳細をデータとしてまとめた。
|