研究課題/領域番号 |
24830028
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 熙珍 東京大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (40634530)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | グローバル製品開発 |
研究概要 |
本研究は、多国籍企業の海外拠点における製品開発機能の形成プロセスを整理した上で、その過程における促進要因と阻害要因を解明することを主要目的としている。このような研究目的のために、本年度に行った研究内容とその実績は以下のように整理することができる。 第一に、主な事例研究の対象としているデンソーのインド拠点におけるインタビュー調査を数回にわたって行った。Denso India International(Technical Center), Denso Subros Thermal Engineering Centerなどでのヒアリングを通じて、現地拠点において製品開発・設計機能が形成されていくプロセスを観察してきた。現地エンジニアの育成が製品開発のグローバル化の中で果たす役割について、Kim(2013)にまとめて公表している。 第二に、製品開発をグローバル化していくために、本社組織はどのように変わるべきか、何を変えるべきかを、デンソー本社におけるインタビュー調査を通じて調べてきた。主に2009年から3年間実際されたDP-EM(Denso Project for Emerging Market)を中心にした調査から、本社組織の体制が整えられてない状況で現地開発を進めることには様々な問題があることが分かった。この内容については、2013年4月の国際ビジネス学会関東部会において報告を行っている。 第三に、市場(顧客)が伸びる際に、外資系企業の現地拠点が開発機能を持つことがどのような競争上の意義を持つのかという観点から、韓国自動車市場における日系サプライヤーの調査を行った。その結果、2000年代にかけて現代自動車が急成長する中で、現地開発機能を有する日経サプライヤーは顧客の成長を自分のものにすることができたことが分かった。この調査については、補足調査を行ったうえで論文化する計画だ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度には、日本国内、韓国、インドにおける現地調査を活発に行い、最大限生のデーターを収集することが最大の目標であった。幸い、企業の方々のご協力が得られ、科研費と時間と体力が許す限りの現地調査を行ってきたと思う。 そこで、実際に製品開発機能の現地化がどのように行われているか、何か課題であり、どのような対応が求められるかなど、現場における生のデーターを色々収集することができた。若干の補足調査は必要であるが、今まで集めたデーターをきちんと分析し、まとめていくことで本研究プロジェクトの目標は達成できることと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度、科研費を活用しインド、韓国、日本などで様々な実態調査を行うことができた。本年度には、昨年度の調査をまとめつつ、必要に応じて追加調査を行いたい。また、研究会、学会などで研究報告を行い、多様な視点を持った研究者のコメントを受けることによって、研究成果をまとめ上げ、論文として完成させていきたい。現在における具体的な計画は以下の通りである。 まず、追加調査については、主に企業の日本本社における国内調査が中心となる。昨年度は海外拠点における開発機能形成の実態調査を主に行ったので、本年度はそれを裏付ける本社側のデーターをインタビュー調査などを通じて収集していきたい。主に、名古屋、大阪、首都圏、古川への出張を予定している。 次に、研究会及び学会での報告については、現在のところ以下の4件が予定されている。①4月27日早稲田大学で開催される「国際ビジネス学会関東部会」における研究報告、②5月17日東京大学で開催されるABAS Conferenceにおける研究報告、③6月12~14日フランスのパリで開催される「GERPISA: International Colloquium 2013] における研究報告、④9月26日~28日アメリカのデトロイトで開催される「Global Supply Chain Management Conference」である。その他も、積極的に研究会・学会で研究報告を行いながら、同研究の先行研究者などから様々な刺激およびコメントを取り入れ、研究を発展させていきたい。それによって、より完成度の高い論文として社会に一つの知識を提供できるようにしていきたい。
|