平成25年度には、前年度の研究実施の結果からより焦点を絞ったうえで、特に製品開発をグローバル化させていくうえで本社組織の変化の必要性と、本社と現地開発拠点の間をつなげる逆駐在(impatriation)制度の有効性を中心的に検討した。主な研究内容とその実績は以下の3点に整理することができる。 第一に、製品開発機能を現地化していくプロセスにおいて、本社に蓄積されてきた技術的知識と海外拠点における市場知識とを効果的につなげていくことの重要性に注目し、まずは、本社組織の変化が必要であることを事例分析から検討した。24年度の調査成果を整理し、2013年6月にパリーで開かれたGERPISAという国際会議で報告を行った。文書としても書き上げ、博士論文の第6章に掲載しているし、今後学術誌への投稿も予定している。 第二に、本社と現地拠点間の知識をつなげるリエゾンとして逆駐在員の役割に注目し、日本人駐在員ではなく、外国人エンジニアの本社駐在を通じて両方をつなげることがなぜ効果的であるかについて分析した。その調査結果については、2013年5月のABAS Conferenceで報告を行い、逆駐在と関連したレビュー論文をABASに投稿・掲載した。なお、博士論文の第7章として掲載した。 第三に、既存の研究成果に加え、平成24年度と平成25年度の研究実施内容をもとに、博士論文を作成・提出し、現在最終審査中である。博士論文においては、製品開発機能のグローバル化にかかわる諸課題や、グローバル製品開発のマネジメントの上生じうるボトルネックの所在および対応について論じている。
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