近年、世界各地で民族紛争がみられる。ケンブリッジ・カーネギープロジェクトが提言している複合型パワーシェアリング(CPS)は、自治権付与による解決である。国家全体の枠組みを残したまま、分離独立を求める民族集団に自治権を認める、いわゆる「非対称的自治」の導入である。だが、中東では、租税収入に基盤を置く通常の「生産国家」ではなく、レント収入に依存する「配分国家」になって、結果的に非民主的な政治体制の形成を促すメカニズムが働いているため、CPSの導入以前に経済的問題が横たわる。資源の高産出国では、資源が体制強化に寄与し、低産出国の場合は、資源が内戦や紛争の発端になりうる。
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