平成25年度は、日本企業が自発的に続けている環境情報開示活動が、企業自身の環境負荷や環境管理体制の維持・改善をもたらすか否かについて、特に東日本大震災が発生した2011年に着目して検証を行った。 より具体的には、平成24年度に実施していた日本企業を対象として行った統計的手法による研究成果を、更にデータを追加、収集し、発展させた。当該成果は、平成24年度に開始した、ESSEC Buisiness School所属の研究者との共著論文の2本目として執筆した。尚、新たに2名の共著者(いずれも海外)を迎えた。 同論文では、平成24年度の研究の際にも議論にのぼっていた東日本大震災という事象を、新たな分析視点として取り入れている。震災後に発生したエネルギー需給のひっ迫、ならびに福島第一原子力発電所の事故は、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)情報開示活動に対する、資本市場を含めた企業外部者の関心を高めたという仮説を立て、実際に、資本市場の関心が高まっている状況を「情報開示に対する株主資本コストの感応度」という変数で描写した。また、新たに「環境情報の精度」という指標を作り(環境報告書の第三者認証の有無、認証機関・認証担当者の連続性、ならびにGRIガイドラインへの準拠)、これとの相関も検証した。 同論文は、平成26年度に全部で3回の学会発表を予定している。時期の早い順番に、European Accounting Association、、American Accounting Association、Accounting Educators and Researchersである。学会発表時のフィードバックを踏まえて、海外ジャーナルに投稿予定である。
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