研究課題
本研究は,PTSD患者の否定的・肯定的な認知と活動の交互作用がPTSD症状や生活適応に及ぼす影響を明らかし,肯定的な認知や活動にも着目した新たな介入法を提案するために実施された。本年度は,前年度に得られたデータを用いて一連の統計解析を行った。アナログサンプルを対象とした複数の研究結果によると,否定的な認知や活動はPTSD症状を悪化させるが,肯定的な認知や活動はPTSD症状に影響しないことが示された。しかしながら,臨床群を対象とした研究結果によると,アナログサンプルと同様に,否定的な認知や活動はPTSD症状を悪化させ,肯定的な認知や活動はPTSD症状には影響しないが,生活支障度などの生活適応には影響することが示された。つまり,肯定的な認知や活動を促す心理的介入は,PTSDなどの精神症状の改善には寄与しない可能性があるものの,生活適応の改善には必要な要素である可能性が高い可能性がある。以上のことから,外傷性ストレス体験者やPTSD患者に対する支援の際の介入コンポーネントの再考の必要性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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ストレス科学研究
巻: 28 ページ: 66-73