今年度は、1950年代の日本資本のアジア進出にともなう賠償・経済協力事業や南アジアや東南アジアからの人材受け入れ事業の起源について研究を行った。主として通商産業省や財界の活動に焦点をあてて資料収集を行った。文献調査だけでなく、以下のように関係者への聞き取り調査を行った。戦後の日本がアジアに再進出する際に、帝国の遺産を活かしながら、賠償や開発・経済協力をテコとして利用したことを強調している。「開発」だけでなく「環境」を主題とする研究会や学会での発表を行った。具体的な活動は以下の通り。 国内出張:主に首都圏へ出張し、通商産業省元事務次官、元公正取引委員会委員、元通商産業省公害立地局長/ジャスコ副会長の子息といった元官僚およびその経験者、海外技術者支援協会理事の子息への聞き取り調査および資料調査を行った。 海外出張:2012年11月にアメリカ合衆国ハワイ州へ出張し、ハワイ大学の研究者らと研究打ち合わせを行った。同月、ケニア共和国へ出張し、日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターにてセミナー発表を行った。 研究集会参加:名古屋大学大学院法学研究科にて定期的に行われる科研研究会や、山梨大学生命環境学部で組織されている環境政策史に関する研究会に参加した。環境経済・政策学会大会(東北大学)で、研究発表を行った。 これらの成果は、2013年4月に出版された岩波シリーズ「日本の外交」などで発表される予定である。
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