日本の社会民主主義者および関係者(大学知識人、社会党・民社党関係者、労組幹部、経済同友会指導者)とアメリカのケネディ・ジョンソン政権・民主党に近い知日派との関係を中心に、日米の文化関係を検証した。ロックフェラー史料館に所蔵された、ロックフェラー財団やフォード財団の史料を閲覧した。民間財団史料の閲覧を目的としたアメリカ訪問など、海外での研究調査を行った。 これらの調査と名古屋大学での研究会での議論をふまえ「アメリカのリベラルと日本の社会民主主義 ―― フィランソロピーからみる戦後日米特殊関係」『法政論集』260号を発表した。今後はここでの試論を深める方向に進みたいと考えている。 また、昨年度に発表した「日本型地域研究の生成と制度化 ―― 戦後日本経済とアジア研究」『人文学報』105号、2014年がきっかけとなり、ジェトロ本部および同アジア経済研究所にて開発援助の歴史についての講演を行った。アフリカ研究者らと日本の地域研究の歴史に関する議論を行うことができた。 最終的な成果として『帝国日本のアジア研究――総力戦体制・経済リアリズム・民主社会主義 』明石書店を2015年1月に刊行した。同書は全国紙で書評(日本経済新聞3/15・読売新聞4/19)されるなど注目を集め、4月に重版となった。2015年度も書評会をはじめ本書についての議論の場が設けられるので、フィードバックを受け今後の研究の進展に反映させるつもりである。
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