本研究は、「患者」として医療処置を受けることにより、以前よりもさらに「逸脱した身体」を受け入れることを余儀なくされた当事者の経験に焦点を当てた。具体的には、インターセックス/DSDと薬害HIV当事者の経験に着目し、特にその身体の経験と、社会的経験(社会運動、他の当事者とのかかわり)について明らかにしている。医療の介入によって身体の「逸脱」が「増幅」される身体経験のうち、相違点に着目し「逸脱」経験のメカニズムについて明らかにした。分析の結果、「逸脱増幅」は、「逸脱の深化」と「二重の逸脱」からなっており、そのメカニズムは社会からのフィードバックと深い関連があることを明らかにした。
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