研究課題/領域番号 |
24830055
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂東 智子 山口大学, 教育学部, 准教授 (60634764)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 国語科教育 / 古典教育 / 大村はま / 中学校 / 学習記録 / カリキュラム |
研究概要 |
本研究の目的は、大村はまが昭和54年度に行った大田区立石川台中学校1年生の国語学習年間カリキュラムの内実を、鳴門教育大学附属図書館大村はま文庫に所蔵されている45冊の学習記録(学習者自身がそれぞれ個人でまとめたもの)を研究資料として具体的に解明し、中学校入門期における古典学習指導と他の国語学習との連関関係や、年間の国語カリキュラムにおいて古典学習指導が担っていた役割を明らかにすることである。全2年計画の研究の初年度である平成24年度は、資料および文献収集と、収集資料の分析を行い、学会誌への論文を投稿し、25年6月に掲載予定である。また、25年5月の全国学会で、収集した学習記録の分析考察をもとにした研究発表を行う。資料収集(学習記録の複写)は以下のように行った。 1.複写する学習記録を決定するためのリスト作成と大村はま文庫での検討。 2.鳴門教育大学3年生2人に研究協力を依頼し、資料収集の基本方針を説明、山口大 学での謝金関係の申請手続きを行った。 3.研究協力者と協力して学習記録の複写を行った。昭和54年度と比較を行うために、50年度の学習記録の一部を複写した。 本研究が考察資料とするのは、学習のてびきや配布プリントといった、極めて具体的なものである。学習記録は、学習過程と成果を詳細に書き記したものであるため、解明された国語カリキュラムの実際は、国語学習の実態を極めて具体的に解明したものとなった。先行研究では大村はまの個々の単元の学習の実際を解明することは試みられていたが、年間の国語カリキュラムの全体像を学習記録を資料として解明しようとする研究は未開拓の分野であった。24年度に収集した学習記録を資料とした大村はまの年間カリキュラムの解明は、新たな資料を用いた、具体的で詳細なものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己評価の主たる理由は以下の2点である。 1.研究対象とする資料収集が計画していた以上にすすんだこと。資料収集の過程で、予定していた54年度の学習記録だけでなく、それとの比較のために、50年度の学習記録の複写も行うという資料収集の新たな観点の発見があった。研究協力者との連携もおおむね順調であり、資料収集は計画通りに行うことができた。 2.研究成果の報告が当初の計画にそって行われていること。収集した資料の一部の分析考察を行い、平成25年5月の全国大学国語教育学会弘前大会での自由研究発表の申し込みを行い、すでに発表要旨を送付している。学会誌「解釈」への論文投稿を行い、採択されて、平成25年5/6月号に掲載予定であること。 おおむね順調としたのは、収集した資料のデータ化が計画よりは遅れている点を考えてのことである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、24年度に収集した資料のデータ化を推進したい。 データ化を進めるにあたって、デジタルカメラやスキャナを適宜用い、収集した学習記録を紙媒体だけでなく電子データとしても整理し保存する。研究協力者との連携を強め、収集した資料のデータ化を推進したい。 24年度の資料収集の過程で、当初の計画では重視していなかった、昭和50年度と昭和54年度のカリキュラムの比較という新たな観点を見出した。このことにより、大村はまが国語年間カリキュラムにおいて目指していたものを具体的に明らかにするという、研究目標が生まれた。 今後の研究発表の方針の一つが明確になった。
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