地方都市における女性企業家のキャリアと活動状況について、過去の仕事経験、ライフステージ、およびビジネスの内容の差異も加味しつつ、理論的、実証的な検討を行った。ひとくくりに女性企業家と言っても、上記要素の組み合わせは多様に存在するため、一般化した仮説を提示することは困難であるが、現時点での到達点として、以下のような発見事実を指摘することができる。 ・企業家活動においてロールモデルや助言者を得ることは重要であるが、それらの重要性を認識すればこそ、彼女たち自身が一つのロールモデルとして、また、女性の仕事復帰の支援や後進の経営者の育成などにおいて貢献していこうとする意欲を有していた。 ・育児期等におけるワークライフのバランスは、一定程度、犠牲にせざるを得ない部分があるが、ライフ側では、家族や友人の協力、外部のサービスの利用等により、ワーク側では事業内容や仕事スタイルの調整により対応している。しかしながらそれ以上に、それらを犠牲と捉えずに前向きに対処している姿勢が継続してビジネスに取り組んでいく上で、重要となっていた。 ・既存研究でも様々な形で指摘されているが、ビジネスモデルの構築において、管理の目が届く/身の丈にあったことを手掛けようとする傾向が見られた。 今後は、これらの成果について、さらに詳細な検証を重ね、論文および学会報告として発表していく予定である。
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