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2012 年度 実績報告書

高等学校における職業教育およびキャリア教育の在り方に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24830069
研究機関札幌大谷大学

研究代表者

岡部 敦  札幌大谷大学, 社会学部, 講師 (00632340)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード教育学 / 教育制度 / 高校教育 / 職業教育 / キャリア教育 / 国際研究者交流
研究概要

平成24年度の研究計画は、①研究の理論的枠組みの検討②アルバータ州における現行の学校から職業社会への移行(STW)プログラムの分析の2点を中心にしていた。
このうち、①研究の理論的枠組みの検討では、1920年代アメリカの職業教育を巡る議論に関わる文献および論文等により、今日のキャリア教育及び職業教育につながると考えられる理論的な背景を明らかにすることができた。特に、特定の職業のための準備教育を否定し、職業そのものの中に学習の要素があるとしたデューイの主張は、1990年代アメリカにおけるSTWプログラムの基本理念となった。これは、本研究の調査対象であるカナダ・アルバータ州のSTWプログラムの基本理念でもある。
②アルバータ州における現行のSTWプログラムの分析については、現地調査で州教育省のカリキュラム担当者に聞き取り調査を行い、現在の改革の動向に関する資料を得ることができた。特に、職業教育科目の改訂が進められ、高校卒業後の進路選択(pathway)を、シラバスの中に明確に示したカリキュラムの導入が進められている。この新たなカリキュラムでは、アカデミック科目と職業教育科目との垣根が取り払われ、理論と実践の統合が、明確な形で強調されている。
また、当初は平成25年度に計画していた③STWプログラムを通じた生徒の変容についても、平成24年度中に実施した現地調査でデータを収集することができた。カナダ・アルバータ州エドモントン市の二つの高校と、州南東部のメディスンハット市の一つの高校で、合計20名の生徒へ実施したインタビューから、高校卒業後の進路を、進学か就職かの選択ではなく、職業分野を幅広くとらえていることを示す回答を得た。
これらの研究実績は、平成25年度において、さらに深く分析をすすめ、国内外の研究者との議論の機会を経て、具体的な提言につながる価値を有するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論的背景の分析については、一部、研究紀要等への掲載を実現することができ、ほぼ計画通りの達成状況である。アルバータ州におけるSTWの現行プログラムの分析については、現地調査で分析に必要なデータの収集は終了している。しかし、これらのデータを分析および関連学会にける口頭発表・投稿論文の形式での公表は、平成25年度においても継続する必要がある。したがって、この項目の達成度は、60%程度である。STWプログラムによる生徒の変容に関する分析は、平成25年度中に計画していたものであるが、平成24年度に実施した現地調査で、研究に必要なデータ収集は終わっており、当初の計画より進んでいる。
当初の計画より若干遅れていると判断される事項は、現地調査で得られたデータの公表である。すでに、口頭発表および論文の形式での発表を終えている項目もあるが、まだ、データの分析が発表段階に達していない項目も残されている。特に、原稿のプログラムに関する分析についは、今年度の研究活動として残されている。
全体的にみて、研究成果の発表という点では、まだ課題が残されているが、当初の計画に先行して実施した項目もあり、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

今後の研究においては、次の点を中心に進める。それらは、①現地調査で収集したデータの分析と検討②学会等での研究の成果の公表③高校教育の現場への提言 の3つである。
データの分析と検討では、平成24年度中に実施したカナダ・アルバータ州での現地調査で得られたデータを整理し、キャリア教育および職業教育の先進的な事例の一つとして公表できるように準備する。
学会等での研究の成果の公表については、口頭発表および論文等の形式での公表を計画している。具体的には、日本教育政策学会において、アルバータ州の職業教育のカリキュラム改訂にかかわる動向を報告する予定である。また、日本キャリア教育学会において、アルバータ州のSTWプログラムを通じた生徒の変容について報告する予定である。また、国外の研究者との情報交換および意見交換の機会を得るため、フランスで開催される国際キャリア教育学会の研究大会において、日本の高校教育におけるキャリア教育をテーマに口頭発表する予定である。
高校教育現場への提言は、カナダ・アルバータ大学から研究者を招聘し、国内の高校教員を対象とした「(仮称)キャリア教育・職業教育フォーラム」を開催し、そこでの議論を踏まえた上で、これからの高校教育における提言を行う予定である。
収集したデータの分析結果、学会等での発表およびフォーラムでの提言内容は、最終報告書としてまとめて出版し、関係する学校現場などに配付する予定である。学会発表、フォーラムでの意見交換などで。国外研究者や国内の高校教員から提起された課題や、意見などは、本研究のまとめとして記録する。また、それらを踏まえて、今後の研究活動を継続する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する研究ーアメリカにおける学校から職業社会への移行改革を中心にー2013

    • 著者名/発表者名
      岡部 敦
    • 雑誌名

      札幌大谷大学社会学部論集

      巻: 第1号 ページ: 1-17

  • [雑誌論文] 高等学校における普通教育と職業教育の統合に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      岡部 敦
    • 雑誌名

      札幌大谷大学紀要

      巻: 第43号 ページ: 11-20

  • [学会発表] The Career-Related and Vocational Education in Japanese High Schools2013

    • 著者名/発表者名
      岡部 敦
    • 学会等名
      The Work and Learning Network Seminar Series 2013, University of Alberta
    • 発表場所
      University of Alberta, Faculty of Education
    • 年月日
      20130314-20130314
    • 招待講演
  • [学会発表] 学校から職業社会への移行プログラムの研究 ―札幌市内A高校のキャリア教育における実践と課題―2012

    • 著者名/発表者名
      岡部 敦
    • 学会等名
      日本キャリア教育学会第34回研究大会
    • 発表場所
      滋賀大学教育学部
    • 年月日
      20121028-20121028

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公開日: 2014-07-24  

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