比較対象であるカナダ・アルバータ州の高校教育の事例から、キャリア教育および職業教育と既存のカリキュラムとの関わりについていくつかの可能性をみることができた。その一つは、キャリア教育および職業教育が、職業社会への適応能力や具体的な職種に必要とされるスキルの育成という狭い範囲の役割ではなく、実社会に近い場面状況に修得した理論的知識を当てはめ、学習の意味付けの機会を与える可能性を持っているということである。この理論と実践の統合という考えを、日本の高校教育におけるキャリア教育および職業教育を推進する上での基本的な理念として位置づけ、既存のカリキュラムとの融合を図ることが可能であると考えることができる。
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