研究課題/領域番号 |
24830071
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
中村 一成 上武大学, 商学部, 講師 (30634042)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 社会経済史 / 医療史 |
研究概要 |
本研究の目的は、近現代日本における医療の供給および受療の経済的実態を、可能な限り構造的に明らかにすることである。そのねらいは、「医療崩壊」が叫ばれる今日の医療問題に対して、歴史認識に裏打ちされた現状認識を提供することにあり、そのためには、医療供給と医療受療の拡大局面としての近現代日本の経験を解明する必要がある。その際、当該研究領域における先行研究が十分に発展していない現状を踏まえ、基礎的な事実を明らかにしつつそこから全体の構造を展望するという方法をとる。 本年度は基礎的な文献史料の収集および地域史料の収集・分析を行った。 本研究が主要なフィールドとして設定している北海道地域については、統計資料を中心に史料を収集し、地域の社会経済構造の分析を進めた。このことによって、既に収集済みの医療供給主体および医療需要主体の史料と併せ、明治大正期の医療の実態を分析する準備が整った。 また、戦後の医療問題を検討するフィールドとして設定している名古屋地域については、1930年代から1960年代にかけての行政史料を収集し、当該地域の医療問題の政治行政面での展開を時系列で整理する作業が進展した。 さらに、新たな史料を発掘して調査のフィールドを開拓すべく、新潟県魚沼地域および佐渡地域の史料収集を試みた。佐渡地域については文献史料の収集、魚沼地域については一次史料の収集ができ、かなりの成果があったため、今後の調査フィールドに組み入れていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器および資料の整備を含む研究環境の整備が一段落した。 研究機器の整備により、デジタル形態で保有している史料の整理がほぼ終了し、分析作業が進捗した。 また基礎的な文献及び史料の整備により、研究仮説の補強および部分的な実証が進展している。 さらに旅費の使用により、新たな史料の収集および研究の中間発表(口頭)を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的な文献や機器類の整備が一段落したことから、本年度よりも史料調査の回数を増加する。 とりわけ基礎となる一次史料を補強する地域史料の収集が不可欠であり、短い日程でも調査出張を繰り返すこととする。 一次資料の分析および地域社会経済構造の分析を進め、まとまった成果から研究発表していく。
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