本研究では、学習意欲と学力が極端に低い子どもたちへの教育と支援の可能性について考察した。 子どもたちの事例研究からは、彼らが、「勉強することに何の意味があるの?」と言って授業にほとんど参加しない背景に、彼らの自己肯定感の極端な低さ(現在と未来の自分自身に対する絶望)があることが示された。子どもが抱えているこうした課題は、学習場面だけではなく、日常のあらゆる場面における周囲の人びととの関係の齟齬の中で顕在化する。したがって、子どもたちへの教育は、彼らと関わるおとながありのままの彼らをひとまず受け容れるという姿勢のもと、学習・生活・心理におよぶ包括的な支援を含んで展開すべきであることが示された。
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