研究課題/領域番号 |
24830076
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
西原 彰宏 亜細亜大学, 経営学部, 講師 (10634272)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | バラエティ・シーキング / 消費者行動 / 製品関与 / マーケティング / 探索行動 |
研究概要 |
平成24年度は、当該年度における論文研究から得られた知見を論文としてまとめるとともに、その成果を踏まえて研究発表を行った。 論文1「バラエティ・シーキング-その要因と今後の研究の方向性-」に関しては、先行研究において挙げられているバラエティ・シーキングの規定要因を整理した上で、これまで問題として認識されてこなかった高製品関与状態で生起するバラエティ・シーキングについて明らかにしていく必要性を示した。論文2「関与概念の整理と類型化の試み」においては、消費者行動研究におけるこれまでの関与研究の契機と変遷を踏まえながら、高製品関与状態で生起するバラエティ・シーキングのメカニズムを説明する枠組みの土台として、関与概念の類型化枠組みの提示を試みた。 研究発表においては、本研究の論文1の成果を応用しながら「高関与行動研究の新展開」というタイトルで、高製品関与状態において多様な購買行動をとる消費者(バラエティ・シーカー、コレクター、熱狂者、カテゴリー・ロイヤルな消費者等)の動機やその行動について関与研究の理論枠組みにおいて位置付けながら明らかにする必要性を示した。加えて、本研究の論文1ならびに論文2の成果を応用しながら「関与研究とバラエティ・シーキング研究の関連と展望」というタイトルで研究報告を行った。特に、先行研究の多くが、バラエティ・シーキングをブランド・スイッチングといった顕在的行動が複数回に渡って起きているという行動面から捉えていることの現状を示した上で、バラエティ・シーキングの源流となった心理学領域から適用された探索行動とその動機づけに関わる研究を再評価した上で、探索行動としてのバラエティ・シーキングを高関与行動として取り上げる必要性を示し、その包括的なモデルの提示を行った。 以上の成果を踏まえ、今後の課題として、本論文の理論枠組みが検証される必要性が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究における平成24年度における具体的な目的は、主に下記の3つであった。バラエティ・シーキングを、1.低関与行動ではなく製品に対する高関与行動として捉えなおすこと、2.ブランド・スイッチングのみならず情報探索を含めた探索行動として捉えること、3.高製品関与型バラエティ・シーキングによるブランド・スイッチングと低製品関与型バラエティ・シーキングによるブランド・スイッチングを識別するための尺度開発に向けた基礎的予備調査を行うことの3つである。 本年度の達成度としては、論文研究の成果により、目的の1と2に関しては、論文ならびに研究報告として提示することが出来た。その際、(1)関与研究において高製品関与状態で生起する多様な行動に関する視点が乏しく未着手の領域であることが確認され、(2)バラエティ・シーキングは探索行動の1つとして情報探索や製品の獲得(ブランド・スイッチングや革新行動)を含めて捉える必要があること、(3)バラエティ・シーキングは消費者の顕在的行動として捉えにくい心的プロセスあるいは認知行動として捉える必要があること、(4)(2)から(3)の探索行動としてのバラエティ・シーキングは、高製品関与状態で生起する可能性があることが明らかとなった。 本年度の課題は、3.の調査が行えず、平成25年度に調査の実施が順延となったことである。その理由として、平成24年11月中にWeb調査実験システム「Sen」の改修を完了させる予定でシステム会社へ依頼したところ、次ページへの遷移がうまく行かず回答が終了しないという根本的な不具合を先に直す必要があるとの報告があり、本研究の改修作業が遅れた。また、共同利用者の当該システムの使用時期(4月)の都合により、本調査時期を5月に延期せざるをえない状況となった。 以上より、現在までの達成度は、やや遅れているという状態である。
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今後の研究の推進方策 |
計画当初において種々の調査と共に同時並行で進める予定であった論文研究を平成24年度に前倒しで行っていたため、平成25年度においては、調査とその分析、取りまとめに専念する予定である。
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