本研究は、消費者の特定の製品カテゴリーに対する興味関心が高い状態で生起するバラエティ・シーキングを、消費者と製品カテゴリーとの関係の把握を通して明らかにするものである。その上で高製品関与状態でのバラエティ・シーキングがどのような要因によって生起するのかを明らかにしていくことを目的としている。 本年度は、前年度に提示した探索行動としてのバラエティ・シーキングの枠組み、関与概念の類型化の枠組みを踏まえ、日記式購買パネルデータの取得、Web調査システムを用いた調査を行った。その結果明らかとなったのは、(1)異なる製品関与度(高・中・低)それぞれにおいて、バラエティ・シーキング傾向(高・中・低)が異なる消費者が存在した。製品関与度が高まった場合に、どのような要因がバラエティ・シーキング傾向の程度に影響を与えるのかについて、今後ヨリ精緻にみていく必要がある。(2)実際の購買において高製品関与型バラエティ・シーキングが行われていることが確認された。ただし、今回の調査は日記式購買パネルデータであるため、実際の購買の購買時点における購買動機を抽出すべきといった課題も残された。 今後、高製品関与型バラエティ・シーキングが生起する要因を明らかにするために、関与研究において先行研究が見過ごしてきた、製品関与が高く、購買関与が低い消費者の行動ならびにその動機に関わる研究の整理を行う必要性が確認された。これらの消費者の行動や動機は、探索行動とも少なからず関係しているだけでなく、高製品関与者による多様な製品カテゴリーとの関わり方を捉えるために必要であると考えられる。
|