①平成25年度においては、前年度に行った調査研究を踏まえ、研究会・学会等で英語による発表を行うと同時に、広く一般に公開される研究の総合的な発表の場として、11月25日に、宍戸常寿東京大学大学院法学研究科教授、小山剛慶應義塾大学法学部教授、駒村圭吾慶應義塾大学法学部教授に国際基督教大学にいらしていただき、研究代表者がコメント・司会を務める公開シンポジウム「放送・メディア・表現の現在―情報通信規制の現在を踏まえて―」を開催することができた。 ②米国における議論と日本の議論の比較についてメディア法の観点からの国際的な視点を得るため、また本研究成果の国際的発信のため、7月にカッセル大学ITメディア研究所において、米国の議論の紹介と日本法への示唆につき、講演を行った。また、カッセル大学においてロスナーゲル教授、ヘッセン州メディア庁における法律アドヴァイザーを務めるアーデミールゲッティンゲン大学教授に米国法と日本法から考えられる組織の在り方につき、インタビューを行った。 ③平成24年度において国際基督教大学において本科研によるシンポジウムを開催するために招聘して御講演いただいた、マーカス博士とも密接に連携を取り、12月にワシントンDCを訪問し、米国と日本の情報通信規制に関する考え方について研究会を開催し、議論を行った。また、3月には、米国における議論を踏まえた日本の法制度の今後の在り方について、国立台湾大学法律学院において学会発表を行った。 ④上記研究発表・研究会等の成果として、わが国における情報通信分野における規制機関の議論が、米国に強い影響を受けた委員会制度の導入とその後の廃止等にかかる議論と密接不可分な関係を有していること、現在の制度のまま独立性を高めた情報通信分野における規制機関の再検討を行うには、透明性の確保の問題以外にも、憲法上の問題点も慎重に検討する必要があることを確認した。
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