2年目である本年度は、引き続き「調査②-1日本における敬神教育関係調査」研究を進展させることとともに、「調査③神社と学校とが連携して実施されていた教育の実態調査」「調査④⑤日本と旧植民地における教科書・教育課程調査」に取りかかった。 調査②-1と調査③に関連して、『夏季学習帖』という自学課題を、新たな分析の対象として検討する必要性ができた。現代まで継続する児童・学校文化である自学課題である『夏季学習帖』を精査してみると、そこには修身学習がもれなくふくまれていることが判明したためである。そのため、年度夏まで『夏季学習帖』に見られる敬神・神社崇敬教材の分析を進め、平成25年8月教育史フォーラム・京都研究会において報告を行った。9月と10月には、昨年の教育史学会発表「植民地朝鮮における「御真影」ー不在と遍在」を学術論文として執筆し投稿した。その後は、植民地朝鮮にのみ1937年10月から施行された「皇国臣民の誓詞」が、どのように朝鮮総督府編纂教科書の中で扱われるかを検討課題とし、韓国に現地調査に赴いた。並行して、12月にはアジア教育史学会で研究発表を行い、神宮皇学館卒業生ネットワーク研究を、教員ネットワーク形成の研究として位置付けることができるという考察に至った。そのため、朝鮮における特定の学校卒業生による教員ネットワーク研究も、継続して進展させたい課題となった。 研究機間中、成城学園教育研究所、皇学館大学、韓国延世大学校、国立ソウル大学校、国会等図書館等で資料調査を行い、次に挙げるように研究を進めることができた。なお平成24年9月の教育史学会研究発表と、平成25年3月の著書刊行は、本研究開始以前から継続してきた研究の中に、一部本研究課題の成果をふまえて行ったものである。
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