研究課題/領域番号 |
24830084
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
眞子 岳 東洋大学, 国際地域学部, 助教 (80633528)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | ヒ素汚染 / 代替水源 / 地下水 / カンボジア |
研究概要 |
本研究は地下水ヒ素汚染地域における持続可能な代替水の選定を目的としている。特に昨今地下水ヒ素汚染問題が深刻化しているカンボジア王国と既往研究があるバングラデシュ人民共和国を比較し、適正技術を用いた技術移転や代替水源及び浄化装置などを提案する。 本年度は、カンボジア村落部において2週間の現地調査を行い、地下水の代替水源である雨水タンク内の水(雨水、水道水)の水質調査(ヒ素、鉄、大腸菌群、一般細菌)、使用形態調査、処理手法の調査を行った。さらに、現地におけるボトル水の市場価格調査も行い、地下水に代わる代替水の妥当性について現在分析を行っている。それらの結果として、雨水タンク内の水は大腸菌群や一般細菌に汚染されていることが明らかになっており、これらの水を未処理のまま使用することは困難であることが確認された。また、凝集剤や塩素剤の使用はプノンペン近郊で入手可能ではあるが、村落部での使用は見られなかった。これらの調査結果は、既往研究と今年度初旬に取りまとめたデータを基に、著書(共著)「国際開発と環境 アジアの内発的発展のために」コラム5.カンボジア村落部におけるキャパシティ・ディベロップメント(pp74-77)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2年間の研究期間で、既往研究があるバングラデシュと昨今地下水ヒ素汚染問題が深刻なカンボジア村落部(地下水ヒ素汚染地域)を比較すると同時に、カンボジアの住民の水使用形態などを明らかにし、適正な代替水源を提案することを目的としている。平成24年度では、代替水源である雨水に焦点を当てて、水質実測、雨水の使用方法、処理や貯水方法について分析を行った。さらにボトル水の現地市場価格も調査しており、地下水の代替水源の利便性や経済的妥当性を分析している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、平成24年度に行った調査結果の取りまとめを行う。さらに地下水の代替水である、ボトル水や河川水の水質実測、水使用方法を明らかにする。これらのデータを取りまとめた後、既往研究があるバングラデシュのデータと比較する。また、カンボジア村落部住民の可処分所得から安全な水への支払意志額、支払可能額を明らかにし、経済的妥当な代替水を選定する予定である。
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