研究課題
MFCAと環境マネジメントの仕組みとの関係を明らかにしようとする研究計画に対して,下記の3点の調査,研究を実施しました。第一に平成24年度は日本電気化学のMFCA導入事例のフォローアップおよび,理論的な背景を明確にすることで論文としてまとめる作業をおこなった。これらの成果は平成25年度にEuropean Accounting Asociationでの年次大会および,Asia Pacific Interdeciplinary Reserch for Accounting学会での研究発表を受理されており,2013年5月に発表を行います。第二に,当初の計画では明記できなかったのですが,神戸大学の國部教授とともに大日本印刷株式会社の協力のもと,MFCAとCFP(Carbon footprint of products)の統合モデルの実証的な研究を行いました。これにより従来はコスト削減の目的で導入が進められる傾向が強かったMFCAの利用が,環境マネジメントとの関係でどのように利用する可能性があるのか,またその際にどのような実践的な課題があるのかについて明らかにすることができました。また本年度は,この研究に注力するために当初,24年度に予定していたサンデン株式会社への調査は実施時期を25年度に延期しております。第三に,ドイツのリュンネブルグ大学のシャルテガー教授らと行っているサステナビリティ経営に関するバロメータの作成のための国際調査を行い,質問票調査を通じて日本企業では48社の協力を得て,現在,報告書および論文の執筆段階にあります。
2: おおむね順調に進展している
24年度に予定していた研究計画と,25年度に予定していた研究計画の順序が協力企業の関係で前後しているが,2カ年で設定して計画に対しておおむね順調に進展しているといえる。具体的には本研究計画では,MFCAの環境マネジメントのための利用可能性を明らかにするという目的に対して,平成24年度には具体的な企業事例への分析を通じてその可能性について組織的,技術的なレベルで調査を行う予定であった。これに対して具体的にはサンデン株式会社の事例を調査対象と予定していたが,計画時点では調査の実現性が明確でなかった大日本印刷株式会社との研究協力が可能となったため,神戸大学の國部克彦教授とともにMFCAとCFP(Carbon footprint of products)の統合モデルの構築および実証研究を優先的に行った。これは25年度に計画を予定していた「環境マネジメントシステムとMFCAの融合モデルの考察」への研究成果である。これによりMFCAとCFPの統合モデルを設計することができたとともに,大日本印刷での分析事例を通じてその利用可能性と導入に際しての課題を明らかにすることができた。そのため当初,24年度に予定していたサンデンでのMFCAの環境マネジメントへの利用に関しては,25年度に実施するように計画を修正している。
2カ年の研究計画期間の最終年にあたる本年度には,当初予定していた質問調査票によるMFCAの環境マネジメントへの影響に関する調査と,24年度に実施予定であったMFCAを通じた環境マネジメントの可能性に関する事例研究を行います。前者に関しては本年度より広島経済大学に赴任した天王寺谷達将講師と,後者に関しては名城大学の東田明准教授の協力を得ながら進める予定であり,具体的な実施予定などについても打ち合わせを行っている。
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Journal of Accounting and Organizational Change
巻: in press ページ: in press
環境管理
巻: 49 ページ: 193-223
原価計算研究
巻: 36 ページ: 1-12
産業経理
巻: 71 ページ: 51-61