本研究では、世襲議員、および議員の年功(当選回数)の違いという2つの議員属性に着目し、主にその政府支出に対する効果をゲーム理論および日米のデータを用いて分析した。その結果として、第1に、世襲議員は、選挙に強く、より規模の大きな配分政策を、当該議員の選挙区が存在する地方自治体にもたらすが、一方でその経済成長は低めてしまう。第2に、議会が若手議員に占められている場合、あるいは逆に、年功の高い議員で占められている場合に政府支出は大きく、若手議員と年功の高い議員がバランスよく存在している場合に支出は低くなる。第3に、議員の当選回数に厳しい制約を課す多選禁止制の導入は、政府支出を増やす効果をもつ。
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