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2012 年度 実績報告書

眼間抑制によって生じる弱視症状

研究課題

研究課題/領域番号 24830097
研究機関神奈川大学

研究代表者

前原 吾朗  神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (90401934)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード弱視 / 実験心理学 / 視覚 / 両眼視
研究概要

交付1年目となる平成24年度においては、新たな所属における実験環境の整備に多くの時間が割かれた。具体的には、刺激呈示装置の設置、実験プログラミング、インフォームドコンセント同意書の作製等である。また、研究計画と同意書を学内の倫理審査委員会に提出し、審査のうえ承認を受けた。弱視患者2名を対象とした予備実験も行い、その結果を日本心理学会第76回大会で発表した。さらに、これまでの研究を2編の論文としてまとめ、国際学術論文誌において公表した。
予備実験においては両眼及び単眼使用時における弱視眼と固視眼の輝度コントラスト検出閾を計測し、両眼を使ったときに弱視眼の機能が著しく低下する弱視患者の特徴についての検討を行った。遮蔽あり単眼呈示条件の場合、いずれの弱視患者においても弱視眼と固視眼との間に閾値の差はほとんどなかった。このことは、弱視眼における輝度コントラスト感度の低下は両眼使用時にのみ生じることを示唆している。遮蔽なし単眼呈示条件では、固視眼よりも弱視眼の方が閾値は高かった。この閾値上昇は弱視患者の間で大きな差はなかった。両眼分離呈示条件においては、2名の弱視患者は異なる結果を示した。斜視弱視の場合、弱視眼における閾値上昇は遮蔽なし単眼呈示条件と大きく変わらなかった。複合障害弱視の場合、弱視眼ではターゲットを検出することができなかった。また、単眼呈示条件と比較すると、複合障害弱視患者の固視眼の閾値は若干高くなっていた。一方、斜視弱視では、固視眼の閾値は3条件間で大きな差はなかった。これらの結果は、固視眼と弱視眼との間で網膜像に不一致があり、固視眼においてのみ刺激されている視野があるときに、弱視症状の個人差が大きくなることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、実験装置を設置し、実験プログラミングを行い、インフォームドコンセント同意書の作成及び審査、実験参加者の募集とを行った。新たな所属における研究環境の整備は完了したといえる。予備実験も行い。研究はおおむね順調に進展している。しかし、弱視研究の本格的な実施に臨んで、実験参加者となる弱視患者の確保は十分であるとはいえない。

今後の研究の推進方策

十分な人数の実験参加者を確保するにあたっては、研究協力者となる眼科医を探す必要があるだろう。日本弱視斜視学会総会で開催されるシンポジウムにおいて講演を行う予定があり、この機会を眼科医との共同研究へとつなげたい。また、十分な実験参加者が国内でみつからなかった場合の対策として、海外の研究者との共同研究を進める予定である。そのため、8月から9月にかけてニュージーランドのオークランド大学に滞在する。上記と並行して、計画した実験を神奈川大学において実施していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 弱視の症状理解と治療法開発:実験心理学的アプローチ2012

    • 著者名/発表者名
      前原吾朗
    • 学会等名
      金沢大学人間社会研究域特定研究<認知科学>セミナー
    • 発表場所
      金沢大学付属病院
    • 年月日
      20121019-20121019
    • 招待講演
  • [学会発表] 単眼視及び両眼分離視における弱視患者のコントラスト閾2012

    • 著者名/発表者名
      前原吾朗
    • 学会等名
      日本心理学会第76回大会
    • 発表場所
      専修大学
    • 年月日
      2012-09-11

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公開日: 2014-07-24  

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