保育カンファレンスの実証的な効果評価とモデル開発のため、A市公立保育所で若手保育士を対象としたカンファレンスを1年間に延べ約50回開催し、全保育士409名に対し個人IDを付与し「保育での悩み」など138項目の追跡型アンケート調査を4回実施した。 保育カンファレンスは、特定の若手保育士を対象として1年間継続し、①午前中に保育観察を行う、②午睡時間内の1時間半ほど会合し、若手保育士から保育の悩みを出して、それについて5~10名程度で議論をすすめる、という方法で行ってきた。子どもの発達の見方や、どのような保育の工夫ができるか、また、同僚保育士からみた若手保育士自身の良いところなどを出し合い、自由に発言できる機会が持てた。 アンケート結果からは、保育士の抱える悩みは保育士同士、特に管理職との人間関係が強く影響していることが明らかになった。また、保育カンファレンスを継続して行った6ヶ所では、カンファレンスを実施していない他の保育所に比べて、保育士同士や保育士と管理職との関係の良さが高まってきた。保育カンファレンスには、園内の人間関係を良くする効果があることが明らかになった。
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