研究課題/領域番号 |
24830109
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
初見 健太郎 関西大学, 政策創造学部, 准教授 (40633417)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | ゲーム理論 / ミクロ経済学 / 社会選択理論 / 公共経済学 / メカニズムデザイン |
研究概要 |
一般に参加者の選好の取り得る範囲である定義域が狭いほど、多くの望ましい性質を満たすメカニズムが存在しやすい。一方、広い定義域で望ましい性質を満たすメカニズムほど、その適応範囲が広くなる。では、どれくらい選好の定義域を広くしても望ましいメカニズムが存在し続けるのだろうかという疑問が生じる。これが選好の最大定義域問題である。この問題は、メカニズムデザイン研究の中で重要な位置を占めており、さまざまなモデルで分析されている。本年度、本研究課題の代表者は大阪大学の芹澤成弘教授、ジローナ大学のドロス・ベルガ教授と共同で、公共プロジェクトのリストの中から実行するべきプロジェクトを選択するモデルにおいて、選好の最大定義域の問題に取り組み、これを完成させた。実行するべきプロジェクトはひとつでも複数でもよい。このモデルは公共経済学の基礎理論において重要なもののひとつである。この問題において、耐戦略性と拒否権所有者の非存在という望ましい二つの性質を満たすメカニズムが存在するための、最も重要な選好の最大定義域は、分離性を満たす選好の集合であることが示された。選好の分離性とは、あるひとつの公共プロジェクトを実行するべきか否かを単独で考え、実行されるべきであると判断した場合は、リスト上の他の公共プロジェクトが実行されているか否かに関らず、必ず実行されるべきと考える選好である。この研究は、過年度より継続的に行われていたものであるが、本年度完成し、ゲーム理論の国際査読誌に掲載が受理され、次年度、掲載される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の代表者が責任著者である論文が、本年度、国際査読誌に掲載が認められたことは、研究が順調に進展している証左と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
「公共財供給量決定問題において、耐戦略性と全員一致の尊重もしくは非独裁制を満たすメカニズムが存在するための、選好の最大定義域問題」を中心に研究を行う。また、国内の複数のミクロ経済学・ゲーム理論系研究会などで口頭報告をし、研究者からのコメントを集めて内容の改善を図り、早い段階でディスカッションペーパーとしてまとめ、国際的な専門学術誌への投稿を行う。もし選好の最大定義域決定問題に解決の目処が立たない場合、解くべき問題を近接の公共経済学に関連するメカニズムデザインの問題へと切り替えを行う。
|