平成25年度には、海外では米国とカナダにおいて調査を行い、民主化支援に関わる重要なポジションについている人物に多くのインタビューを行うことができたほか、一次資料や書籍などからも情報収集を行うことができた。調査結果を分析したものは論文としてまとめ、米国の学術雑誌に投稿した。現在は掲載可否の結果を待っているところである。また、分析結果を本として出版すべく、分析を進め、本の企画書を米国の出版社に提出した。 研究開始時には二つの仮説を提示し、これを検証する研究を行うことを目的としたが、研究を進める中で、当初設定したリサーチデザインに若干の変更を施す必要性が明らかとなった。第一に、本研究で検証することとした二つの仮説(構成主義仮説および歴史制度論仮説)に加え、もう一つの仮説(合理選択仮説と名付ける)を設定・検証する必要が明らかとなった。第二に、仮説の検証には特定の被援助国を取り上げた事例研究を行う必要性が明らかとなった。こうした修正点については研究期間内にできるだけ取り組むようにしたが、今後さらなる研究が必要である。 また、平成24年度に本科研を受けて出版した論文が評価されたこと、および平成25年度に行った米国におけるインタビュー調査で人脈が広がったことにより、本科研に関連した新たな国際共同研究を開始することとなった。これは本科研プロジェクト開始当初には予想をしていなかった、肯定的な副産物である。これにより、本科研の資金を用いて購入した書籍などを直接参照する形ではないながらも、英文論文2本の執筆および出版に至った。
|