本研究は、先進民主主義国間における民主化支援比較を行い、支援内容に差異が生じる原因を分析したものである。分析結果は第一に、各ドナーが被援助国の公共ガバナンスを向上させるべく支援を行う際、重視する要素が異なることから、支援すべき対象アクターが異なり、支援対象に変化をもたらしていた。第二に、民主化促進という政治的目的を持って支援を行っているか、経済成長促進という開発援助目的を持って支援を行っているかによって支援対象が異なった。こうした点は当初設定した仮説から大きく逸脱したものではなかったが、仮説が想定していたよりもドナー間での差異は微小であったほか、これら2点は相互連関する要素であった。
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