研究課題/領域番号 |
24830119
|
研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
岡田 啓介 広島修道大学, 人間環境学部, 助教 (70633064)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | 経済発展 / 民主主義 / 制度 |
研究概要 |
本年度は、経済発展における民主主義の役割に着目した研究を行い、主に2つの研究成果を得た。 第1は、民主主義の発達している国とそうでない国において、政府規模の増大(政府支出の増加)が汚職にどのような影響を及ぼすのかについて検証した論文であり、Economic Modelling誌に掲載した。この研究では、1995-2008年の82ヵ国のデータを用いて、政府規模の増加が汚職にどのような影響を及ぼすかについて実証的に検証している。一般に、政府規模が汚職に与える効果は不明確であることを知られており、この研究では、その原因を民主主義の成熟度に求めている。推定結果から、民主主義の成熟していない国では政府規模の増大が汚職を増加させるのに対して、民主主義の成熟している国では、政府規模の増大が汚職を減少させることを示した。 第2は、制度的な要因が国際資本移動にどのような影響を及ぼしているかを検証した論文であり、Journal of Macroeconomics誌に掲載した。民主主義は広い意味では「制度」の一つと考えることができる。この研究では、国際的な資本移動が、基本的な新古典派モデルの示唆に反して、発展途上国から先進国へ流れている理由として、制度的要因の相違に着目している。制度的要因の総合的な指標に加えて、その中身をより詳細に分類し、国際資本移動に与える影響を検証している。推定結果から、金融のグローバル化(開放度)を進めることで、資本流入が活発になる一方、その効果は良い制度を保有している場合に限られることを明らかにした。また、制度の質の中でも、官僚の質、法の支配が特に重要であることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に取り組む予定であった「民族的多様性・民主主義と健康」については、論文を執筆し、国際的な査読誌に投稿した。2年目に取り組む計画であった「民主化と不平等」については、現在、実証分析に向けてデータセットを作成している。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目に取り組む計画であった「民主化と不平等」については、不平等だけではなく、政府の再分配政策への影響についても拡張して研究を進めていく予定である。現在、先行研究やIMFのデータを収集し、データセットを作成している途中である。次年度には実証分析、論文の執筆を完了させる予定である。
|