平成25年度の実績は以下のとおりである。 ①『高田短期大学紀要』第32号において、Charter Management Organizations(CMO)とチャータースクールの関係性についてカリフォルニア州を事例として検討した。本稿では、「教育の民営化」の実践の一つとして近年増加傾向にあるCMOがチャータースクール運営の諸相を検討しながらチャータースクールの教育実践の構造について考察をした。CMOは社会経済的に困難にある地域において設置・運営されることが多く、そこで確かな成果を挙げている学校も少なくない。このような点においてはCMOならではの方法で地域の教育の改善を実現していることは評価できる。一方で、非営利の団体や財団であるCMOが公立学校を運営することの弊害も確認できた。チャータースクール設置の申請者であるCMOが、他の組織と連携することで、結果的に連携が複雑化することで、非効率な学校運営がなされるという「教育の民営化」とは矛盾する教育実践の構造を明らかにした。 ②World Association of Lesson Studies International Conference2013にて、CMOが提供する資源がどのように教育実践に活用されているのかを具体的な金額や資源の実態を示しながら検討した。一般的に州などの公的機関からの資源の獲得が期待できない分野に対してCMOが資源の提供をすることによって、教育サービスを充実することが大きな特徴であり、CMO特有の連携の形として評価できる。 ③日本比較教育学会第49回大会においてCMOがどのようなネットワークをチャータースクール間で形成しているのかを中心に検討した。CMOは設置・運営するチャータースクール間のネットワークを形成することが大きな特徴であり、それがどのように機能しているのかCMOの視点より明らかにした。
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