平成25年度における研究によって以下の項目を達成した。1.Yb2(Pd1-xNix)2SnにおけるNi置換量制御による量子臨界点へのアプローチ、2.Ce2Pt2Pbの単結晶試料の育成と磁気秩序の発見。 以下に具体的な内容を示す。 【1.Yb2(Pd1-xNix)2SnにおけるNi置換量制御による量子臨界点へのアプローチ】昨年度の研究において作成した、パラジウム元素をニッケル元素で置換した試料Yb2(Pd1-xNix)2Snにおいて、電位抵抗及び比熱測定を行った。その結果、ニッケル置換量が5%の試料が量子臨界点近傍に位置することを見出した。さらに、この試料においては広い磁場範囲で比熱が-TlnTに比例することを見出した。 【2.Ce2Pt2Pbの単結晶試料の育成と磁気秩序の発見。】本研究において注目しているYb2Pd2Snと同様の結晶構造を持つCe2Pt2Pbは、フラストレーションの影響による量子臨界点近傍に位置する物質であると考えられてきた。これが本当であれば、本研究のテーマであるフラストレーションに関連した量子臨界点の参照物質として適切であるため、Ce2Pt2Pbの結晶育成を行った。その結果、世界で初めての単結晶試料の育成に成功した。さらに、比熱(本研究で開発した比熱測定装置を用いた)、電気抵抗、磁化測定を行ったところ、これまでの報告と異なり、この物質は3Kで反強磁性秩序を示すことを見出した。この結果から過去の研究に置いては試料の純良性が不十分であった事を見出した。
|