研究課題
非クラマース二重項結晶場基底状態を持つPr化合物では、低温で電気四極子と磁気八極子の多極子に起因した新奇な物性が期待されている。本年度は希釈系(Pr0.03Lu0.97)Ag2Inの超音波測定を行った。その結果、非クラマース二重項基底に起因した弾性定数(C11-C12)/2のソフト化を観測することに成功した。測定最低温度20 mKでもソフト化が続いていることから縮退はまで残っていると考えられ、どのようにRln2のエントロピーを放出するのか興味深い。今後、磁場中も含め磁化・比熱及び超音波実験などの詳細な研究が必要である。またPrMg3の熱膨張測定を行った結果、熱膨張係数が比熱と同様の振る舞いを示すことが分かり、グリューナイゼン定数が低温で\Gamma ~ 5に収束することを明らかにした。これは、PrMg3では4f電子と伝導電子との混成が大きくないことを示唆しており、熱電能の結果と一致する。今年度はさらに反強四極子秩序を示すPrV2Al20の極低温・強磁場下での磁化・比熱測定を行った。磁化の異方性がM[111]>M[110]>M[100]を示すことから、結晶場準位がG3二重項(0 K) - G5三重項(~40 K)であることを明らかにした。立方晶主要三軸の磁場-温度相図を作成し、[100]方向にのみ強磁場相があることが分かった。平均場を用いた解析から、[100]方向の強磁場相では秩序変数が電気四極子O20からO22に変化している可能性があり、G5型の磁気八極子の相互作用が重要であることを指摘した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 83 ページ: 33707 (1-4)
10.7566/JPSJ.83.033707
http://sakaki.issp.u-tokyo.ac.jp