平成24年度研究成果を基に、CMB 不均質構造が ICB 構造または内核成長に対し及ぼす影響を調べた。 まず、永年冷却型ダイナモモデルと ICB 駆動型ダイナモモデルとで、どの程度 ICB における熱的水平不均性の見積もりに差異をもたらすかを評価した。下部マントルにおける地震波速度異常分布を模倣した CMB 不均質構造を仮定し、MHD ダイナモシミュレーションを実施した。そこで ICB から放出される熱フラックスの水平分布を求め、両モデルを比較した。その結果、永年冷却型モデルでは、ICB 駆動型モデルに比べて CMB 不均質構造の ICB 構造への影響が過大評価されることがわかった。この結果は、CMB 不均質構造による内核不均質性の形成を提唱した先行研究の数値計算が不適切であったことを示唆する。 次に、CMB 不均質構造と ICB 構造との位置関係を精査するため、非磁場下または強磁場下の対流 (以下、磁気対流) に関する数値実験を実施した。その結果、対流の発達度によって、CMB 不均質構造のコア対流および ICB 構造に対する影響が異なることがわかった。対流運動が弱いとき、自転の効果により、CMB から流出する熱フラックスが最大値をとる位置とコア対流の下降流の位置とに位相のずれが起こる。これは線形解析による示唆と整合的である。しかし、対流運動が強くなるにつれ、CMB 不均質構造とコア対流の下降流の位置とが再び一致するようになることがわかった。この傾向は、強磁場が存在する磁気対流の場合でもおおむね同様である。強磁場の存在はコア対流の下降流の位置と CMB 不均質構造は位相のずれを解消するように働き、両者間の位相関係はより一致するようになる。これは、活発な対流運動が起こっている地球コアでは CMB 不均質構造とコア対流構造との位置関係はほぼ一致すると考えてよいことを意味する。
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