研究概要 |
まず、インド下のD"層内の1次元地震波S波速度構造を行った(Konishi et al. 2012)。過去の私たちの研究成果と合わせて解釈すると、最下部マントルの大規模不均質が水平方向の熱境界層の厚みの違いで説明できることを確証した。これは以前の私たちが提唱した核マントル境界の温度が3800Kであるということと調和的である(Kawai and Tsuchiya 2009)。 次に、私たちは沈み込んだ大陸地殻の行方を調べるために、密度汎関数理論に基づく第一原理計算を用いて高圧下における大陸地殻の密度、弾性特性および熱力学特性を調べた (Kawai and Tsuchiya 2012a,b,c,2013)。次に既存の地震学の研究結果と照らし合わせて、大陸地殻の行方について議論し、マントル遷移層および下部マントル最上部に大陸地殻成分が蓄積する「第2大陸」仮説を提唱した(Kawai et al. 2013)。 また、大陸地殻がマントル遷移層まで運ばれるメカニズムとして沈み込む海洋リソスフェア直上のsubduction channelを想定し、それによって運ばれる大陸地殻成分の量を見積もった。その結果、subduction channelを通じて少なくとも地球表層に現存する上部中部地殻の総量に匹敵する量が、マントル深部へと沈み込むことがわかった(Ichikawa et al. 2013)。
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